Project POINT BLANK を終えて

ずっと劇場にいたためブログ更新が滞ってしまいました。

24日、無事Project POINT BLANKを終えてきました。

Project POINT BLANK http://hokutokodama.com/projectpointblank/top.html


2日間の公演で感じたことを箇条書きにしたいと思います。

・Project POINT BLANK、4人のダンサーが振付けを行い、三作品が発表された。普段振付けをメインのワークとしてやっているわけではないダンサー達だが、逆にダンサーとして多くの振付家の振りを吸収した身体から出る作品は、振付家の作り出す作品とはひと味違う。今後もこういう機会として続くことは素晴らしいと思う。

・3つの作品はそれぞれ全く違う性質のものであった。そこには、それぞれの振付けを行った振付家の身体や日常を垣間見るようで興味深かった。児玉北斗君の作品に感じるヨーテボリでの経験や音楽への趣向、山田勇気君の作品に感じる身体への思考/感覚やNoismで踊っていたこと、小尻健太君/大手可奈さんの作品に感じる舞台での身体の在り方やNDT等のスタイル。

・それぞれの作品に素晴らしさを感じつつも、何か物足りなさも感じた。これは自分自身がいま考えていることとの問題かもしれないが、「構成/構造」に対する注意を強く感じる(振付けにおいて「構成しなくてはいけない」という意識を感じる)反面、こちらを驚かせるような動きを見せる身体(トリッキーやアクロバットという意味では決してない、見ている人の体に響くような)に対する注意がやや足りない気がする。ダンサーの身体に対する注意力は強い。ならば、その部分が異常に強調される瞬間があってもいいのではないかと思う。

・音楽に関しては、2日間とも劇場の音響ブースにラップトップとサンプラーを並べ、ダンスに合わせて音を出していった。詳しく言うと、児玉君の作品「Fall Out」は3部構成になっており、第1部のライトと暗闇が交差シーンではラップトップ内の大量のサウンドファイルとサンプラーから即興で再生/加工し、第2部の群舞のシーンではBPM=180のリズムトラック、第3部の男女のデュエットのシーンではストリングスとピアノの曲を用いた。どの場面でも細かなボリュームやEQの調整を含め、全てをライブでコントロールした。

・身体が音楽と安易に呼応することにはあまり意味を見いだせないが、今回のように振付けが決まっていても出す音によって、ダンサーの身体が微妙に揺らいでいくのは面白い。小さな揺らぎが積もり積もると、第3部のシーンに至る頃には毎日全く違う身体になってしまっている。

・今回の経験を踏まえて、今度は今回のメンバーと即興的なこともやってみたいと思う。非常にハードルは上がるであろうし、簡単に結果を生むことはないと思うけど、この「Fall Out」という作品を一緒に作ったからこそできることがあるのではないか。

・多くのひとに会えたことは大きい。日本にいては知ることのできない面白いものや人も、色々な人から沢山教えてもらえた。


唐突なことを言うようですが、私は将来オペラを作りたいと思っています。

もちろん、何かいますぐアイディアがあるというわけではないですし、こういった音楽をやろうという具体案が出ているわけではありません。ただ、いままでの先人達が提示したオペラ(現代音楽のオペラを含め)とは全く違うものを提示すべきだと考えています。
そのようなことを考えている中で、身体の在り方をどう考えるかということは特に重要になるのではないかと思っています。
今回のProject POINT BLANKのようなプロジェクトは、仕事として以上に、少し未来の作曲のためのヒントを探す場として興味深く感じました。


児玉君が今後このプロジェクトをどう発展させていくのか、楽しみです。
私も関わらせてもらえるだけ、関わっていきたいと思っています。