Wing Shya Photo Exhibition 2010 @Tokyoを見て

先週のことになりますが、3331にある+81 galleryで行われている「Wing Shya Photo Exhibition 2010 @Tokyo」を見に行ってきました。

Wing Shya Photo Exhibition 2010 @Tokyo http://www.3331.jp/schedule/000267.html


Wing Shyaは映画監督ウォン・カーワイの作品のスチール写真で有名な写真家。「ブエノスアイレス」、「IN THE MOOD FOR LOVE 花様年華」、「2046」などウォン・カーワイ作品を知っている人は、誰もがその作品を目にしたことがあると思います。+81 galleryでは、ウォン・カーワイ作品のスチール、オリジナル作品、映像作品が展示されていました。


Wing Shyaの写真はもちろん知っていたのですが、コマーシャルなものを含めた映像作品はどれも初めて見るものばかり。中にはややウォン・カーワイ的な映像もあり、二人の世界観の共感を垣間見た気がしました。

Wing Shyaの作品、どれも色彩感や光が豊かであるのに、モノトーンや闇を強く感じさせられます。もちろんそれは単純なテクニカルな問題ではなく、見ている人の感情に抱かせる印象なのではないかと思います。そして、被写体となっている表情豊かな人に対しては、プラスチックのような無機質さと、レプリカントやアンドロイドを見ているかのような儚さを抱く。その対立項の狭間に存在するのは「憂い」「移ろい」「虚無」のような、安定/安住することのない心の揺れ動きなのであろうか。写真からはそれに対する諦めと焦りも同時に見せつけられたような気がしました。
Wing Shyaの写真は、一枚の写真としての力も感じますが、その写真の背景を瞬間的に見ている人に与える力も強く感じます。一瞬の一枚であると同時に、そこに至る時間を全て閉じ込めてしまった一枚、動くことのない/動くことのできない時間を見せつける一枚でもあると思いました。一枚一枚の写真の中に見える「逃げ出すことのできない」時間の数々が妙に切なく、見ていて涙が出そうになる作品もありました。
作曲をしている私が言うと妙にクサクなってしまいますが、「音楽のような写真」というのが私のWing Shya作品に対する印象です。


オープニング・パーティートークのためにWing Shyaが来日されていたことを後で知りました。一度お話しして、感想を伝えたかったです。

展示はもう後数日で終わってしまいますが、まだやっていますのでご興味ある方は是非足をお運び下さい。


Wing Shya Photo Exhibition 2010 @Tokyo http://www.3331.jp/schedule/000267.html
日程: 2010年05月28日(金)〜2010年06月22日(火)
休み: 月曜日、火曜日
時間: 12:00-19:00
料金: 無料
会場: 204(+81 gallery +lab)