3月のライオン

2008年の春から、将棋鑑賞が趣味になりました。
それまでも将棋のことは知っていましたが、駒の動かし方などもよく覚えていなく、遊んだことも数えるくらいしかないほど。本当に「知っている」程度でしかありませんでした。

そんな「知っている」程度の将棋に対して、どうして趣味になるほどのめり込んでいったか。きっかけは作曲です。
2007年終わりから2008年と、どういうアプローチで音楽を作っていけば面白くなるか、考えては実験、作曲を繰り返していました。色々な音楽を聴いたり、本を読んだりして、また作曲にフィード・バックさせたりと。今考えると至って普通の作業工程だったのですが、当時はアイディアが出にくい時期だったのかもしれません。頭の中での作業に少し疲弊していた記憶があります。

ある日テレビを付けると、将棋の名人戦をやっていました。出ていたのは将棋に疎かった自分ですら知っている羽生善治二冠(当時)。森内俊之名人(当時)への挑戦者として対局に臨んでいました。

そこでふと思いました。この人たちの頭の中はどうなっているのか?一手指したら後戻りはできず、相手がどのような考えを持っているかを読み解いていかなくてはいけない将棋の世界で、最高峰でいる人たちはどのように思考している、頭を使っているのだろうか、と。
そのときから将棋のことが急に気になるようになり、駒の動かし方を覚え(笑、ここからスタートしなくてはなりませんでした)、本を読み、「プロフェッショナル仕事の流儀」や「情熱大陸」の映像を見て、自分でも驚くくらいの将棋好きになってしまいました。
時間が制限されている中で、思考/精神のテンションの緩急をコントロールし、流れを読む。時には自ら負けを宣言しなくてはいけないこともある。全ての決定を目に見えない頭脳の世界で行うことに、作曲をするものとして勝手な親近感を抱きました。いまでは、羽生善治名人、谷川浩司九段、渡辺明竜王をはじめとする棋士は私のヒーローですね(笑)

将棋を鑑賞していく中で、トップ棋士の思考やそれに対する時間のコントロールの仕方には、学ぶことが沢山ありました。それぞれの棋士によって方法は千差万別だと思いますが、深い思考やアイディアに至るために頭の中で様々な工夫を行っていることは共通していると感じます。将棋を知ることで自分の作曲を見直すことができました。


そんな将棋好きは、将棋漫画も愛読しています。
その中でも羽海野チカさんの「3月のライオン」は特に好きです。

羽海野チカ3月のライオン白泉社

中学生でプロ棋士になった桐山零五段が、いろいろな経験をして、考え悩み、成長していく姿を見るのは、時にはくすぐったいような、時には目頭が熱くなるような気持ちにさせられます。メインのストーリーはもちろん面白いですが、ストーリーの途中に所々出てくるサブ・キャラやサイド・ストーリーもなかなか。藤井猛九段がモデルの「辻井武史九段」は特に好きです。

今日は完全に趣味の話になってしまいました。