遠藤康行ワークショップ・ショーイングを見て

7月31日、田町のスタジオ・アーキタンツにて行われたマルセイユ・バレエのダンサーで振付家遠藤康行さんのワークショップ・ショーイングに行ってきました。

遠藤康行ワークショップ・ショーイング
http://architanz.exblog.jp/11056839/
http://www.a-tanz.com/dance/kdsrjb0000002i7u.html


遠藤さんの名前はもちろん存じ上げていたのですが、お会いするのも作品を拝見するのも初めてでした。今回はマルセイユ・バレエのダンサーで元Noismのダンサーだった友人の木下佳子さんにショーイングの情報を教えてもらい、見に行きました。

ワークショップのショーイングのため、出演者は遠藤さんのワークショップを数日間受けた受講生で構成されています。衣装や照明、舞台設定もあり、スタジオ内でのパフォーマンスながら一つの作品として出来上がっていました。

ショーイング、なかなか面白かったです。
いわゆるバレエやコンテンポラリーダンス「的」な動きはほとんどありません。ダンスというよりは日常動作レベルの簡易な動きという感じでしょうか。それぞれのダンサーが自然に発する身体の動きを強調して組み合わせ、ひとつの流れを作り、群舞やソロとして構成している印象を受けました。意味や具体的なものを想像させられるような演劇的な要素も強く感じましたが、決してクサくなってしまってはいなく、むしろそれが舞台の中で上手く作用して独特な世界観を作り出している印象です。ピナ・バウシュのにおいも少し感じました。


動きは本当に不思議です。今年の春、テレビで見て印象に残っているイタリアの演出家ロメオ・カステルッチの演劇作品「神曲ー地獄編」では50〜100人程の出演者がいるものの、それぞれに与えられた動きは「歩く」ことといくつかのパントマイムのみでした。プロフェッショナルな動きは全くなく、日常の動作と同じように出演者は動いていく。でも、その動きの数々が妙に強く印象に残り、いまでも時々思い出します。作品の中での見せ方や使い方が、非常に上手かった結果ではないかと思っていますが。

専門的なトレーニングを積んだ動きであろうが、日常動作レベルの動きであろうが、身体を見てその魅力に引き込まれる瞬間はあります。動きのレベルの問題ではない。では、身体の何を見て、心揺さぶられるのでしょうか。音楽にも似たようなことが言えます。

技巧ではないということは数百年前からさんざん言われてきたことですが、何を見て、何を聴いているのか、そして、どこに揺さぶられるのか、それに関してはまだまだ分からないことだらけのような気がします。